日本と同じようにアメリカ株式市場でもIPO株(新規公開株)はありますが、2017年3月に大型上場案件として話題になったのが スナップ(SNAP)です。
スナップ(SNAP)は、写真・動画共有アプリを運営しており、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏から、買収を持ちかけられたものの断ったということで一躍注目を浴びました。
■米国株大型上場案件スナップ(SNAP)が低迷・株価半値以下
ただ、大型上場案件として華々しく米国株市場にデビューしたスナップ(SNAP)も公開後の3月3日につけた株価29.4400 ドルを超えられないどころか、 12.76(11月10日現在)と半値以下に低迷しています。
株価低迷の理由は、業績が芳しくないからです。
11月7日に発表された第3・四半期決算では、純損益が4億4300万ドルの赤字。
赤字幅は前年同期の1億2400万ドルから拡大と、一向に明るい見通しは見えてきません。
■スナップ(SNAP)のサービスを真似したインスタグラムのユーザーの拡大が脅威
スナップ(SNAP)の業績が振るわない大きな理由がフェイスブックが運営する類似サービスのインスタグラムのユーザーの拡大にあります。
フェイスブックは、スナップ(SNAP)から買収を断られた腹いせ?に全く同じような写真・動画共有アプリのインスタグラムを開始、フェイスブックユーザーという、いわば組織票を基盤にあっという間にユーザーを拡大させています。
こうなると投資家からすれば、写真・動画共有アプリ事業の有望性に着目してスナップ(SNAP)に投資するより、フェイスブックに投資したほうが良いという判断になりがちです。
こうした背景から、米国株市場の専門家の間ではスナップ(SNAP)の将来性に疑問符がつけられていました。
■スナップ(SNAP)の強力な助っ人の大手中国IT企業の騰訊控股(テンセント)
スナップ(SNAP)は、11月8日に中国インターネット企業のトップを走る騰訊控股(テンセント)による出資比率が12%となったことを明らかにしました。
テンセントは、中国版のツイッターといわれるウィーチャット(微信)の親会社ということでスナップ(SNAP)との連携でビジネスのシナジー効果を狙っているものと思われます。
フェイスブックは、中国では利用が禁止されていますので、スナップ(SNAP)としてもインスタグラムというパクられたサービスを急拡大しているフェィスブックに反撃という目的もあると感じます。
また、フェイスブックが中国市場進出の準備をひそかに始めていると一部で報じられていますのでテンセントとしても商売敵になる可能性があるフェィスブックを牽制する狙いがあるものとみられています。
■スナップ(SNAP)の株価の今後について
スナップ(SNAP)の株価は、11月7日に公表された第3・四半期決算の内容がよくなかったことで失望売りに空売りが加わり、1時12ドルを割るところまで株価が下落しました。
しかし、その後、騰訊控股(テンセント)の大型出資が報じられると株価が急回復し12.76ドル(11月10日)となっています。
ただ、このままスナップ(SNAP)の株価が上昇していくかということに関しては、株価の基本となる業績が少なくとも黒字にならない限り難しいでしょう。
今回の騰訊控股(テンセント)の出資で、フェィスブックに先んじて、スナップ提供の写真・動画共有アプリが中国で利用可能ということになれば、スナップに対する企業評価も激変、株価高騰となる可能性はあると思います。
現状では、業績が好転して、3月3日につけた株価29.4400 ドルを超えるようになってきてから、投資しても遅くないと思います。