アメリカ株式市場で、電気自動車(EV)の希望の星と目されているテスラの株価が急落。その後、低迷しています。その理由・背景を分析してみました。
テスラの株価は今年に入り、電気自動車(EV)市場への期待から、ほぼ右肩上がりで推移。2017年1月3日に213ドルでスタートした株価は9月18日に389ドルの上場来高値をつけました。
しかし、高値を付けた後は、急落・右肩下がりとなり12月8日現在、 315ドルと低迷しています。
■テスラ株価急落の原因は量産車「モデル3」の生産遅延
テスラ株価急落の原因は量産車「モデル3」の生産遅延です。
当初の計画では、 モデル3の生産台数は7~9月期に約1,000台を生産することになっていましたが、実際に生産したのは260台という惨状。
しかも、その数少ない「モデル3」の大半はテスラの社員及び取引先等の関係者ということで、一般顧客には十分に行き渡らなかったと伝えられています。
このあたりに成熟産業の代表格であり、IT業界とは異なり、リアルな生産能力が必要とされる自動車産業におけるベンチャー企業の困難さを感じます。
この経緯から、テスラに対する評価が凋落。投資家離れを呼び、株価が急落。
以降、株価低迷状態となっています。
テスラに対する期待が強かった分、その失望も大きく、株価低迷状態は当分、続きそうです。
■テスラの将来について
テスラは、自動車産業という典型的な成熟産業におけるベンチャー企業がどこまで通用するのかという観点から注目していましたが、投資対象としてはみていませんでした。
というのも資本力・技術力・販売力にまさるトヨタをはじめとする日米にドイツ、そしてEVの普及が進んでいる中国の世界的な自動車メーカーが本気でEVに取り組み始めたら勝ち目はないのではないかと思ったからです。、
特に中国は意外なようですが電気自動車(EV)が進んでいて、あのバフェットが大規模に投資したことで話題を呼んだBYD等の有力企業が存在します。
電気自動車(EV)で投資するならむしろ中国株のBYDに投資したほうがましと思い、実際に投資しています。
全く業種は異なりますが、日本でネット販売だけの生命保険会社が金融ベンチャーの雄としてもてはやされたことがありました。
最初は軌道にのったように見えましたが、すぐに大手生保がネット販売に本格的に参入したため、思うような成長軌道を描けていません。
このように成熟産業には、巨大な企業が群雄割拠していますので、最初は先行していてもすぐに追いつかれ、簡単に抜き去られてしまう可能性が大きいです。
このような観点からテスラの将来については、厳しいのではないかと考えています。