今年に入り、中国で天猫やアリペイを運営するIT企業の雄の”アリババ”が中国本土市場に上場するのではないかという見方が浮上しています。
そもそもアリババは、香港市場で上場デビューを目論んでいましたが、審査が通らずに
アメリカ市場でADR(米預託証券)という形で上場しています。
やはり、有力IT企業の百度(バイドゥ)やテンセント系の中国版ツイッターと呼ばれる”ウェイボー”もADR上場となっています。
また、中国最大のIT企業のテンセントは香港市場上場で、やはり中国本土市場への上場に意欲を示していると伝えられています。
中国本土市場とは具体的には上海市場と深セン市場を指します。
■なぜ本土市場上場を目指すのか
★資金調達が容易に
アリババやテンセントにとって、中国本土市場を果たせれば、世界一の分厚い個人投資家層を背景に事業活動に必要となる資金の調達が容易になることがメリットとなります。
★背景に中国政府の意向
中国政府は、アリババや百度といったIT系の成長企業を自国市場で上場できなかったことへの反省から、中国版のADR(米預託証券)ともいうべきCDR(中国預託証券)の創設を構想しています。
創設の理由には、アリババやテンセントといった本土市場上場を果たしていない”大物企業の成長を国内で取り込めるようにすること”が念頭にあるとされています。
実際、3月に行われた全国人民代表大会で李首相は、アリババ等を念頭に”海外に上場しているネット企業の上海A株への上場を歓迎する”旨の発言をしています。
こうしたことから、経営者の本心とは別の問題として、どんな巨大な企業であっても、国家資本主義的な体制の中国では、国家の意向に従わざるを得ないという事情もあるようです。
各種報道や中国株式情報によれば中国本土市場に近く上場の可能性のある中国企業は以下の通りです。
■中国本土市場に近く上場の可能性のある中国企業一覧
・テンセント
・アリババ
・チャイナモバイル(中国移動)
・百度(バイドゥ)
・京東集団(JDドットコム)
・網易(ネットイース)
・小米(シャオミ)
上記のうち、小米(シャオミ)は未上場で、上場時期がいつなのかが関心を集めています。
テンセントとアリババの本土市場上場が実現すれば、株価面から相当なインパクトを与えそうです。