未来の投資術~投資オンチの女子大生でも1400万円儲かった~(宮脇咲著 扶桑社)をタイトルにひかれて購入・完読しました。
仮想通貨に関する本は、昨年から今年にかけて、文字通り、星の数ほど出版されました。
これらの仮想通貨本は、
①仮想通貨バブルにうまく乗って億り人になった人の成功談
②草コイン(ICO)で柳の下のどじょうを狙うノウハウ本
③主に仮想通貨に係るマインニング等の技術的なことに特化した解説書
④学者やジャーナリストが仮想通貨についての将来性について政策的な観点から論じる書⑤仮想通貨を対象にした短期トレードのノウハウ本の主に5つに分類されます。
著者の自称仮想通貨女子大生の宮脇咲氏は、現役の都内の国立女子大生。
たまたま10万円をビットコインに投じて、資産を1400万円まで増やすという経験をきっかけに仮想通貨に関心を深め、その過程で知りえた知識やノウハウを網羅的に披露しています。
|
■未来の投資術の特長
未来の投資術は、上記の①から⑤のどれにも分類されません。というより①から⑤までに書かれていることについて満遍なく取り扱い、説明していることが類書にはない特長です。
書かれている内容も初歩的なことから高度なことまで段階的に知ることができることができるような章立てとなっています。
また、全体を通して、初心者が質問して、それに答えるという形式で著述されていますので、書かれた内容が高度でも頭に入りやすくなっています。
特に”仮想通貨テクニカル分析”は、ボリンジャーバンド等のFXで重要視されているテクニカルツールを用いて解説していて数多いトレード本と遜色が無い内容となっています。
■未来の投資術の内容
本書は仮想通貨について主として①トレード的な観点②金融商品としての観点③ICOの投資術④マイニングの仕組みの解説と実践方法⑤初心者に気になる安全な取引所の5つの軸を中心に説明しています。
特に類書にはあまりふれられていない、マイニング業者に投資して配当をもらうという仕組みについて、業者の具体名をあげていて、仮想通貨から収益をあげたいという人にあらたな道筋を紹介しています。
仮想通貨を金融商品として捉えた場合の積み立て投資法もすぐにでも実践できるようにわかりやすい内容となっています。
また、トレードについてもありがちなロウソク足の見方、トレードシグナル等のいうなれば木の部分にいきなり踏み込むのではなく、ビットコインをはじめとした仮想通貨市場のお金の流れつまり森に相当する部分をわかりやすく説明していることが本書の特長です。
■未来の投資術を読んでみた感想・評価
2018年に入り仮想通貨は暴落、また大手業者の流出トラブルが相次ぎ、仮想通貨に対する関心は低下気味であることは否めません。
そうした中で本書は、”仮想通貨はこれからも十分、儲けられるチャンスがあり、投資対象として有望である”というトーンで書かれています。
本書のようなノウハウ本の良し悪しは、そのノウハウが再現しやすいかどうかにかかっていると思います。
仮想通貨の中でも特にわかりにくいマイニングについて、イラストや使用するパソコンの画像、作業にどれくらいの電気代がかかるのか具体的な金額を明らかにしていて、思わずやってみようかなと思ったほどです。
未来の投資術は、仮想通貨に興味を持ち始めた初心者はもちろん、仮想通貨に痛い目にあったことで関心が低下している人にも役に立つ内容となっています。
多くの人がわかりにくいと感じていることをとてもわかりやすく説明しているという点で、本書はとても優れています。
仮想通貨に興味のあるひとなら買ってみる価値はある5つ星の本です。