アフターコロナというには早すぎる状況かもしれませんが、世界各国はすでにアフターコロナを見据えて、動き始めています。
世界各国、とりわけ主要先進国という括りでみると日本はダメージが大きいといえそうです。
具体的には以下の通りです。
■観光立国の頓挫で、先行き不透明の日本経済
ここ数年、ご存知のように日本は、国策として観光立国、要するに海外から観光客や国際会議の誘致によるビジネス客の増加させることに注力してきました。
少なくとも2019年までは順調すぎるくらいの推移でした。
特に2019年のラグビーワールドカップの予想以上の成功で、これまでアジア諸国に偏り勝ちだった旅行客も欧州やロシア、南アフリカ等、裾野が広がり、観光業の前途は雲ひとつない晴れ状態でした。
2019年に勢いをつけ、集大成として2020年の東京オリンピックで大爆発を起こさせ、観光立国日本をさらに加速するという目論見がコロナで一挙にふっとびました。
オセロゲームに例えると2019年まで白一色だった盤面が全部ひっくり返り、黒一色になったような状況に陥りました。
経済学者として著名で政府の経済政策立案にも関与してきた吉川立正大学学長は、”ここ数年のいわゆるアベノミクスについて、観光業以外に成功事例がないこと”について危惧していました。
コロナパンデミックは、長期間に及ぶとされ、アベノミクスの唯一の成功事例である観光業が頓挫したことで、主要先進国の中でも経済的なダメージが大きいという見方が有力となっています。
ここにきて、さらに観光立国の目玉であるカジノ誘致に関して、米大手カジノ企業が日本進出の取りやめを発表するなど、コロナパンデミックによる経済ダメージは広がりつつあります。
■労働問題から考えた日本経済のダメージ
①外国人労働者問題
東京のコンビにいけば、時間によっては、店員も客も外国人ということが珍しくありません。
農業でも茨城県等では、ベトナム人技能実習生が重要な支え手になっています。
でも、現在、コロナパンダミックのため、必要とされる人材が飛行機での行き来がほぼ麻痺したような状況で確保できていない農家が悲鳴をあげています。
日本は世界有数の少子化と高齢化が進行中ですので、外国人労働者なしではやっていけません。
また、外国人留学生はコンビニや居酒屋等のアルバイトの重要な供給源となっています。
このように日本経済は、観光立国だけでなく、農業、アルバイト等が外国人なしには成り立たなくなっていることから、コロナパンダミックによるダメージが世界のなかでも深刻さが増しているのが現状です。
②契約社員をはじめとした非正規雇用問題
30年ほど前までは、企業等において契約社員はごく限られた存在でした。
現在では、契約社員が社員なみの戦力となっている企業や官庁はごく当たり前です。
ただ、契約社員は1年更新等、正規社員に比べ雇用が不安定です。
コロナパンダミックによる業績不振による影響を更新停止等でもっとも受けやすい契約社員が働き手であるいわゆる氷河世代以下に多いことが、国単位での経済的なダメージを深刻なものとしています。
特に観光業では、通訳や観光ガイド等は個人事業主が大半を占めますので既に仕事が全く無くなったなど、深刻な事態となっています。
日本のGDP(国内総生産)のうち、約6割は個人消費が占めています。
個人消費は、その時点の雇用問題に大きく影響をうけます。
コロナパンダミックの終息に時間がかかるようだと、
雇用問題の悪化→給与所得者・個人事業主の収入の減少→個人消費の低迷→GDP(国内総生産)の悪化という悪循環に陥りそうです。