これまで、ネットを通じた販売というとアマゾンの1人勝ちという状況が長く続いてますが、ここにきて、カナダ発のショッピファイ(shopify)という新興企業がアマゾンキラーとして俄かに注目を集めています。
■ショッピファイがアマゾンキラーと称される理由
ショッピファイのビジネスモデルは、世界中の大中小企業から、個人事業レベルのECサイトのプラットフォームを定額料金(月額約3,200円)でクラウド方式で提供するというものです。
たとえば、アマゾンや楽天で自社商品を出品しようとするとアマゾン仕様、楽天仕様に従い、出品する必要がありまし、出店料等、諸経費も発生します。
しかし、ショッピファイを利用すれば、自分の好きなようなデザインで店舗を構築することができます。
また、Facebookやインスタグラム上でも商品の販売が可能になります。
これまで、自社でECサイトを構築するとなると一定の専門知識が必要とされ、また、決済機能まで備えるとなると特に個人事業主にはハードルが高く、必要性はわかっていても着手できないというのが実情でした。
もともと、ショッピファイのビジネスモデルは創業者が自力でスノーボードのECサイトを構築したときに苦労した経験を基に考え出されました。
ショッピファイが登場したことで全世界の”モノを売りたいと思っている企業や人がアマゾンとは別のルートで簡単にECサイトを立ち上げることができる”ことから、アマゾンキラーと呼ばれるようになっています。
ショッピファイは、すでに日本に進出、日本法人を2017年11月に設立していますが、、2020年4月に楽天と提携することを明らかにしました。
楽天との提携で日本国内におけるショッピファイの認知度は、一挙に高まりそうです。
■ショッピファイの業績について
ショッピファイのような新興企業で最も重要な売上高は、以下のような推移となっています。
★売上高(単位100万ドル)
1578.17(2019) 1073.23(2018) 673.3(2017) 389.33(2016)
売上は毎年、約50%増加しており、アメリカの成長株とされる企業の中でも高い伸びを示しています。
しかし、営業利益については、赤字が拡大しています。
ただ、赤字は、サービスの向上のための開発費や認知度向上のためのプロモーションに関わるコストの増大によるものですので、前向きな赤字と捉えられるのではないかと思います。
★営業利益(単位100万ドル)
-141.15(2019) -91.92(2018) -49.16(2017) -37.16(2016)
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ショッピファイのビジネスは、サブスクリプションサービスですので一度、一定のシェアを築いてしまえば、高収益が見込めますので、この段階の営業赤字は投資判断に影響を与えるほどのことではないという見方がアメリカ市場では有力となっています。
■ショッピファイ(shopify)株がテンバーガー候補とされる理由とは
ショッピファイ(shopify)株について、幾つかのマネーサイトや雑誌でアメリカ株のテンバーガー候補としてリストアップしています。
ショッピファイ株がテンバーガー候補とされるのは、そのビジネスモデルがアマゾンが切り開いた巨大な世界EC市場に別のルートで安価でアクセス可能にしていることが評価されていることが大きいようです。
実際、現在のショッピファイの顧客は世界175カ国で約100万ということですが、日本ではショッピファイを知っている人はまだ限られています。
それだけ、ショッピファイのビジネスに”伸びしろ”があるといえます。
また、出品者からすれば、いくら商品がうれても出品コストが定額というのは魅力です。
さらに新型コロナウイルスパンデミックの影響で、今後、ますます、世界的にECサイトのニーズが高まることが見込まれますので、ショッピファイは今後、加速度的に成長するのではないかという観点からもテンバーガー候補とされています。
実際、2020年3月のコロナショックで一時300ドル台にまで下落した株価は、4月以降上昇に展じ、800ドルを窺う水準となっています。
テンバーガー株を保有して利益を得るためには、買うタイミングも重要になりそうです。