数年前から、高利回りで日本人投資家に人気のトルコリラの下落が2021年11月に入り加速していますが、トルコ中央銀行が12月16日に4会合連続となる利下げに踏み切ったことで、ほぼ連日、最安値更新となっています。
12月17日の終値ベースでは、1リラ=6.92円と6円台に突入しています。
9月1日につけた13円台前半と比べ4か月という短期間のうちに、トルコリラの通貨価値が半減しています。
ある著名なFXトレーダーが主宰しているスクールでは3年以上前から長期保有・スワップ狙いのトルコリラの買いを推奨してきましたが、3年前の時点でも多くの人が含み損を抱えていました。
確かそのころ、トルコ出身の著名な投資家の元野村証券のユルマズ氏が当面、トルコリラに手を出さない方が良いようなことを講演会で指摘していたと記憶しています。
その時は、、1リラ=20円前後でしたから、そこからでもリラの通貨価値は約3分の一ですので、相当数の投資家に多大な損失が発生しているようです。
ですのでトルコリラの見立ては、ユルマズ氏の言っていたような展開となっています。
FX以外でもやはり、トルコリラの高金利目当てで設定された債券等の金融商品を購入した日本人投資家に数百万の損失が発生している事例も珍しくないようです。
トルコリラの底なしともいえる下落の最大の原因は、トルコのエルドアン大統領の滅茶苦茶な金利政策にあります。
日本の日銀に相当するトルコ中央銀行の総裁に自分の娘婿を据えたり、利下げするように口を挟んだりとやりたい放題。
これでは、おっかなくて海外からとても投資できません。
そもそもトルコのようなイスラム圏は、金利は認めないという考えが支配的ですので、金利=害悪と捉えているのかもしれません。
最近のトルコリラ下落が止まらないのは、”いくら下落しても買ってくれる投資家”が居ないからです。
その一方で、世界的に多いとされる日本人のトルコリラ投資家による損切による売りがとどまることをしらないという状況です。
さすがにこのままではまずいと考えたトルコ中央銀行は12月に入って4度、リラ安阻止を目的に為替介入を繰り返していますが、今のところ効果が確認できません。
トルコ国内のインフレ率は20%台と尋常ではない水準ですので、本来は利上げするべきにもかかわらず利下げを繰り返すという今のまともでない金融政策に改善の兆しがみえてこない限り、”下げ止まり”狙いの投資さえも見込めない状況が続きそうです。
ただ、個人的には、いくらなんでもここからさらに暴落というのは考えにくいため、トルコリラの買いを虎視眈々と狙っています。
その意味で1リラ=6.92円と6円台で下落ストップとなるか日々注目しています。